悪女のハナシ・・・（６）

探偵とは単に証拠を集めるだけでなく、それに付随するケアも大切なのです。

〜愛のカタチ〜

その後、しっかりと食事をした二人は満面の笑みで店を出て、野々村宅方面へ走った。
車は以前のアパートからすぐの高層マンション駐車場に入った。

車から降りた二人はマンションエントランスに向かい、彼女がオートロックを開けて、エレベーターで１３階に上がり、野々村が玄関を開けて入った。
この二人に依頼者以外の「カモ」がいるのかどうかは今の時点では分からないが、生活レベルが格段に上がっていた。あえて車（白の小型車）を変えない点や野々村の服装（ヨレヨレのポロシャツに膝が出たチノパン）などを意図的にやっているならプロだ。
さすがに事件性が高いので依頼者には警察・メディア含めて行動に出た方がいいです、と伝えた。しかし、案の定あまり乗り気ではない。
最後に依頼者から「もう彼女との付き合いは考えた方がいい事は解りました、本当にありがとうございました」と聞く事が出来て少し安心してケースクローズとした・・・

あれから数か月が経った。

私が横浜の高島屋の前を歩いていると、楽しそうに高級ブランドの紙袋を持つ依頼者と全身ブランド仕様の彼女を見た。

人の幸せはその本人しか解らないのだ・・・（おしまい）