なんだか少しずつ犯罪の香りが・・・
〜自称「弟」登場〜
彼女の前で停まった小型車の中から小太りの50代ほどの男性が降りて来た。男性はすかさず彼女の持つ紙袋を全て受け取り、
車のハッチを開けて載せる。彼女は当たり前の様に助手席に乗り込む。男性が運転席に乗り、車は発進する。
ほどなくして車は駐車場に停まり、二人は隣接するアパートに入る。駐車場には「野々村」の表示がある。そしてその日は彼女が退室する事はなかった。
調査体制を解除して依頼者へ中途の報告をする。依頼者は「ああ~野々村は弟の苗字です」という。しかし、探偵の直感では弟ではなかった。
第二回目の調査は、彼女が友達と「芦ノ湖」へ旅行をするので確認をして欲しいとの事であった。
弟宅のアパートを出た彼女。弟の野々村もスーツケースを手に部屋を出て、二人は車に乗った。
「弟に最寄りの駅まで送ってもらうのかな・・・」
最寄り駅を通過した。
「ん??」尾行を続ける。
芦ノ湖であれば東名だ。案の定、車は東名高速道に入る。しかし、なぜか静岡方面ではなく東京方面に走る。
まあ探偵をやっていれば、浮気調査など当然にして依頼者通りの動きをする事がないケースには慣れている。
車はそのまま用賀から首都高速に入り東北道方面に走る・・・(つづく)